越前の海がゆっくり息を整えるように、味わい深い季節が近づいてきました。
「越前汐うに 茜香(せんか)」は、手を加えないほど冴える一品。ひと匙を舌にのせ、すぐに日本酒を一口―それだけで、夜が静かにほどけていきます。今日は“茜香のための日本酒”を、温度とタイプでご案内します。
まずは「冷やしすぎない」から
茜香は塩だけで仕立てた濃密な旨みが持ち味。冷やしすぎると香りが閉じます。
冷蔵庫から出して数分、空気になじませてから。香りがふっと立ち上がったら合図です。
作法は簡潔に―
ひと匙 → 日本酒を一口 → 和らぎ水を少し。
このリズムで、塩の角が丸くなり、甘みと余韻が長く続きます。
温度で合わせる三景
1)冷酒(10℃前後)× 端正な純米吟醸
キレのよい辛口が、茜香の塩味をすっと整え、香りの輪郭を立たせます。
・余韻は短め、キレ重視の晩酌に。
・茜香はごく少量で。入れすぎると酒が負けます。
2)常温 × 旨みののった純米
米の旨みが茜香のコクと重なり、甘みがふっとのびます。
・食中にゆっくりと。会話の速さに合わせず、酒の歩みに任せるのが肝心。
・塩味の角が最も素直にほどけ、**“海の甘さ”**が顔を出します。
3)ぬる燗(40~45℃)× 山廃・生酛系
穏やかな酸と厚みが加わり、余韻が縫うように長く。秋の入り口の夜に最適です。
・温度を上げすぎないこと。香りが跳ねず、しっとりまとまります。
・茜香は米粒大から。足し算より、引き算の美学で。
余計な足し算はいらない
茜香は“そのまま”が最上。
もし何か添えるなら、薄い焼き海苔を一枚。小さくくるみ、ひと口で。
静けさを味わう夜にしてください。
贈り物にも、ひと匙の間合いを
言葉少なめのご挨拶にも、茜香はよく応えます。
のし・名入れ、二重包装のご用意があります。着日指定も承りますので、受け取る方の都合に寄り添う段取りが可能です。
ひと匙で始まり、一献で終わる。
何も足さない時間が、いちばん贅沢なのだと教えてくれる味です。
今宵は、新物の茜香に、あなたの酒を一つ。