コレクション: 越前粉わかめ

自然の豊かな恵み、越前粉わかめ

春の海 終日のたり のたりかな
与謝蕪村
この俳句のようなうららかに晴れ渡る日の朝、わかめ漁は始まります。穏やかな海底から丁寧に刈り取られ、一本一本手作業で作られた磯の香りが仄かに漂う滋味深い味わい。春の越前海岸からお届けする風味豊かな一品です。

 

粉わかめは自然との対話

福井県越前町で古来より食されてきた粉わかめ。収穫したその日にそのまま浜辺で天日干しされた、まさに自然食品の最たるものと言えます。よく晴れた日の早朝に始まるわかめ漁は板船と呼ばれる筏に乗って行われるため、波の穏やかな日でなくてはなりません。箱眼鏡で海中を覗き込みながら、繁茂する天然の生わかめを長い柄の鎌を使用して器用に刈り取っていきます。

およそ3時間ほどの漁を終え、板船の上にわかめをいっぱいに春の日差しを浴びながら港に戻っていきます。真水で何度ももみ洗いを繰り返し塩と砂を落としたわかめを浜辺一面が真っ黒に染まるほど丁寧に広げ、昼過ぎまで天日で干します。その後、手作業で細かい粉末状にもみ込まれた粉わかめを一本一本丁寧に瓶詰し、一日の漁が終わるころには辺りはすっかり夕闇に包まれています。

こだわりぬいた丁寧な手作業と偉大な自然の力で作られた粉わかめは春から初夏にかけてのみ味わうことのできる貴重な食材なのです。