越前におけるズワイガニ漁は、国内で最も長い歴史を誇り、まさに時代を超えて愛され続ける存在です。室町時代後期の公家、三条西実隆が記した日記「実隆公記」には、すでに「越前蟹」という表記が残されており、この地でのズワイガニ漁が当時から特別なものとして認識されていたことがわかります。越前がには、悠久の時を超え、現代でも変わらず人々を魅了し続けています。
特に明治時代になると、「越前がに」はその優れた品質と味わいから皇室への献上品として名を馳せます。明治42年には、福井県知事が丹生郡四箇浦村(現在の越前町)で水揚げされた「越前がに」を東宮御所に献上したとの新聞記事が現存しており、これが越前がにが「献上がに」としての地位を確立した瞬間です。この伝統は代々受け継がれ、現在でも福井県の漁師たちは、誇りをもって「越前がに」を皇室に献上し続けています。
「越前がに」が他のブランド蟹と一線を画すのは、こうした長い歴史と深い信頼に裏打ちされた品質の高さにあります。何世代にもわたって守り続けられてきた漁法や目利きの技術は、福井県の冬の海がもたらす恵みを最大限に活かし、その一つひとつの越前がにが極上の味わいを備えています。
このようにして、福井県から全国、さらには皇室へと届けられる「越前がに」は、まさに歴史と伝統が生み出した「特別な蟹」として、今なお多くの人々に愛され続けているのです。室町時代から続くこの深い歴史と共に、越前がにの味わいをご堪能ください。