雌ガニである『せいこがに』は、その小ぶりな体に秘められた味覚の宝庫とも言えます。特に目を引くのは、ぎっしりと抱えた2種類の卵です。甲羅の外にびっしりと付いたプチプチとした独特の食感が楽しめる「外子」と、甲羅の内側に隠された濃厚でコクのある「内子」。この2つの卵が織りなす味わいは、雄ガニにはない特別な魅力を持っています。
せいこがには、カニ身、濃厚なカニみそ、内子、外子が絶妙に絡み合い、それぞれの旨味が調和した「奇跡の一皿」とも言える存在です。一口頬張れば、口の中に広がる濃厚な風味に誰もが魅了されることでしょう。地元では、キリリとした辛口の日本酒を合わせて楽しむのが定番の食べ方。冬の夜、せいこがにと一緒に味わうお酒は格別です。
さらに、せいこがには資源保護のため漁期が限られており、11月6日から年内いっぱいまでの約60日間だけ水揚げされるという希少な旬の味覚です。この短い期間限定の美味しさは、まさに冬の贅沢そのもの。他地域のズワイガニと区別するため、福井県で水揚げされる全ての「越前がに」には「黄色いタグ」が付けられており、このタグこそが本物の証です。
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